その差9年!?コンクリート住宅居住者は木造住宅居住者に比べて短命な人が多いというのは本当か。

豆知識

そろそろ家を構えようか…とここ最近様々なハウスメーカーを訪問しているのですが、あるメーカーのカタログに気になる記述を見つけました。

その内容は、マウス実験でコンクリートの巣箱に入れたマウスはどの飼育箱のマウスよりも短命だったというもの。

昨今の強烈な災害を考慮してコンクリート住宅を視野に入れていた我が家にとって、その情報はその心を揺るがすほどのインパクトがありました。

マウス実験 【木造vsコンクリート】

この根拠となった、静岡大学農学部が1987年に行った実験を説明しますね。

それは『木製の飼育箱』『金属製の飼育箱』『コンクリート製の飼育箱』の3種類の箱に、それぞれ100匹の仔マウスを入れ生存率がどうなるか、という試みでした。

検証開始から23日目、仔マウスの生存率は

・木製…85%

・金属製…41%

・コンクリート製…7%

という結果になったそうです。

日本人は木造推し!?

コンクリート製巣箱では100匹中7匹しか生存しなかった、という事実は当時の木造住宅メーカーには朗報で、各社こぞって「コンクリート住宅より木造住宅の方が良い」と謳っていたようです。

ちなみに今回のカタログも木造住宅メーカーさんの資料に記載されていたものでした(苦笑)。

日本の住宅は木をメインで使用する造りが過去から伝わっているため、感覚として「木造は人体に良い」というイメージを持っている人が今でも大半です。

現代においても新築を木造で建てる割合の方が圧倒的に多く、国交省のデータによると、2016年の新築戸建ての建築様式は89%が木造住宅だったそうです。

敬遠されがちなコンクリート住宅。

しかしこの実験には、まだ続きがあったのです。

原因はコンクリートではなく…

マウスが大量死したコンクリートの飼育箱。

そこだけ見るとコンクリートに原因があるかのように思えますが、実はそうではなかったのです。

この実験の翌年、静岡大学はまたさらに別の実験をします。

それはコンクリートの飼育箱に床材を敷き、それによってマウスの反応がどうなるかというもの。

使われた床材は、合板、塗装合板、クッションフロアー、床材なし(コンクリートむき出し)の4種類。プラス比較対象としてヒノキの木製ケージも用意し、計5種類で実験を開始しました。

検証開始から23日目の結果は、以下の図の通りです。

参照:静岡大学「マウスを用いた床材性能評価の試み」

コンクリートむき出しの床で過ごしたマウスは半数が亡くなりましたが、それ以外の飼育箱のマウスはほぼ同じ生存率となっています。

これらが意味すること。

それはコンクリートが悪い、ではなく、熱伝導率の差が生存率を左右する、というものでした。

熱伝導率と生命

マウス実験には変わりないのですが、着目すべきは仔ネズミを使った点です。

生まれて間もないマウスはもちろん毛がなく、全身むき出しの状態です。

親マウスより周りの温度を感じやすい仔ネズミに実験に参加してもらったことにより、熱の伝わり方によって生命の長さが違うことが顕著にわかりました。

コンクリートは熱に左右されやすく、夏の日差しを浴びれば長時間熱いままですし、冬の外気にさらされればずっとひんやり冷たいまま。

このコンクリートの性質が人間にも影響するのではないかと懸念の声をあげている方もいらっしゃいます。

癌細胞が活発化する温度

「コンクリート住宅は熱が奪われやすい」というのはマウス実験でお分かりいただけたかと思います。

例えばもしこれが人間にも当てはまった場合、どうなるのか考えてみましょう。

今や日本人2人に1人は生涯のうちに癌に罹患すると言われています。

一般的にがん細胞は体温が35℃前後で活発化しやすいと言われていて、コンクリート住宅に住んでいることによって体温が奪われ続けたらがん細胞が好む環境ができあがると考えることもできます。

「コンクリート住宅は寿命を縮める」と提唱されている方々は主にここに着目しているのだろうと思います。

しかし実際はどうでしょう。

冬になると一戸建ての木造住宅よりコンクリートマンションの方が温かい、という経験をされている方は実際に多くいらっしゃいますし、私自身もそう感じています。

それはマンションの気密性がいいこと、集合住宅なので四方八方からお互いを温め合っていることが理由だと思います。

木造は温かいというより、温かみを感じる材質であるので寒さを感じにくくさせるのかもしれませんが、木造だって寒いときは寒いし、コンクリートでも温かさを感じる時は感じます。

つまりは体温を奪われにくい工夫がきちんとされていれば木造でもコンクリートでも大差はなく、構造を理由に良し悪しは決められないのではないか、と思うのです。

寿命が9年縮む、の謎

1992年に島根大学の中尾哲也教授が『マンション住まいは木造住まいの方に比べて9年も寿命が短い』という研究結果を発表しました。

木造住宅270軒、マンション住まい62軒を対象に平均寿命の調査をしたところ、木造住宅の方がマンション住まいの人よりも9年寿命が長かった、という結果を得たそうです。

しかし、疑問を持ちませんか?

もしこの結果が本当であれば、この事実がもっと大々的に広がっていてもいいはず。

わざわざタワマンなんかに高いお金を払ってまで住まないはず。

釈然としないのでちょっと調べてみると…。

この検証は、聞き取り調査と過去のデータを分析して得られたものだそうです。

西日本で木造住宅に居住する女性を対象に調べたところ、

・出生率が高い

・癌リスクが低い

・10年近く長生き

ということがわかったとのこと。

西日本の女性だけで東日本の女性は?

男性の結果は??

と疑問だらけなのですが、参考文献が乏しく、でも「コンクリート住宅は9年寿命が縮む!!」ということだけが独り歩きしている状態のようです。

詳しく知りたい方は、こちらの本を参考にどうぞ。


コンクリート住宅は9年早死にする

私は実際にこの本は読んでいないのですが、読んだ方のコメントを見ると「コンクリート住宅でも木装すればよい」ということらしいです。

なんだそりゃ…。

ますますこの情報を怪しく感じてしまいます…。

おわりに

結局のところ、木造でもコンクリート住宅でも身体の芯を冷やさないように生活すればいいんじゃないの?と私は思っています。

地震や台風、洪水、竜巻など、今までの常識では考えられない規模の災害が毎年各地で起こっている現代で、どちらが安全度が高いかと考えると木造の戸建よりマンションだろうということは容易に想像がつきます。

木造住宅に住んで仮に寿命が9年延びるとしても、毎年の災害に怯えながら暮らすのは身体にも悪影響な気がするし、どっちがいいとは言えないのでは…という気がしてなりません。

私の知り合いのご夫婦は、90歳を超えてもなお元気にマンション住まいをしていらっしゃいます。二人とも心も体も元気そのものでうらやましい歳の取り方をしていますよ。

様々な情報が溢れていて何が真実なのかわかりにくい世の中ですが、自分でじっくり考えて吟味することの大切さを痛感します。

この記事を書くにあたりネット検索をたくさんしましたが、「マウス実験でコンクリート飼育箱に入れられたマウスはたくさん死にました。だからコンクリート住宅はヤバいです」のような記事にたくさん出会いました。

ちょっと調べればその先の床材の実験結果も出てくるんですけどね…。

昨今の災害を鑑み、最近では戸建てのコンクリート住宅が徐々に普及しつつあるようです。

現代の建築技術、建築工程ではコンクリート住宅が9年も早死にするような造りではないと考えるほうが自然でしょう。

あなたはどう考えるでしょうか。

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