コロナで世界中に重く暗いムードが漂っている2020年。
日本でもコロナによる業績悪化で失職してしまった人、解雇は免れているものの営業自粛で実質働けない人、勤務時間短縮で収入が激減した人、会社を畳まざるを得なくなってしまった自営業者の人達などが数多くいらっしゃいます。
そんな中、少しでも出費を減らすため体調が悪いのに病院に行かない、持病で定期的に通院していたのに行くのをやめたという「受診控え」を選択する人が今年に入ってから増えだしたことがわかりました。
受診を渋る患者達
収入が減り貯金を切り崩して生活をしなければならなくなった人達にとって、金銭が増える見込みがないにも関わらず残高がどんどん減っていくというのはとんでもない恐怖であることに間違いはないでしょう。
体調に異変を感じていたとしても「受診料を払うことを考えるとなかなか病院へ向かうことができない」という人が増え、受診しなかったために健康をひどく損なうという結果に繋がってしまっています。
病院では「なぜここまで悪化させてしまったのか」と医師や看護師が首をひねるほどに体調を悪くした患者さんが救急搬送される件数が今年に入ってから増えたとのことで、受診を控えている間に命の危険性が出るレベルまで達してしまった人が珍しくないと言います。
このような事態になっている割合は40~50代の一人暮らしの非正規労働者の方が圧倒的に多いそうですが、若い世代にも受診控えが広がりつつあり、懸念されています。
健康があってこそ仕事ができて収入を得られるという構図が、健康があったとしても仕事がないので生きていけないという悲しい構図に飲み込まれつつある今の現状。
実際に体調の異変を感じていても金銭を理由に病院に行けなかった人は「このまま死んだほうが楽かもしれない」という考えを自然と持ってしまいがちだそう。
そのような経済状況が苦しい人でも病院で診察・治療・投薬が行える制度が国と医療機関によって存在しています。
無料低額診療とは
無料低額診療という制度があるのをご存知でしょうか。
これは、医療費の支払いが困難な方を対象に、一定の要件を見たせば無料若しくは低額で診察・投薬を行える制度です。
「一カ月の収入が生活保護基準のおおむね1.2倍以下の方」で、「本人や家族、医療従事者からの申し出により医療相談員(医療ソーシャルワーカー)が面談して適合判定をする」という厳しい条件ではありますがこの制度を利用して健康管理をする方は4月から増加しているそうです。
来院した患者さんを無料にするか低額にするか、あるいはその対象にはならないかを決めるのは受診する医療機関に委ねられているのですが、医療費の捻出が難しいという方はまずは医療費相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
制度の詳細はこちら→全日本民医連:無料低額診療事業 制度の説明
→全日本民医連:医療費でお困りの方はご相談ください(無料低額診療)
この制度を実施している機関は全国で700機関程度(国の全医療機関のうちのわずか0.4%)と少ないのですが、手遅れになってしまう前にまずは電話相談をしてみましょう。
自分の身体をあきらめないで
コロナで経済状況が著しく厳しい状態に陥り、健康保険料を払えなくなり保険証がなくなってしまった人もいらっしゃいます。
お金がない上、健康保険証もないという状況。
3割負担でも辛いのに全額自己負担はきつすぎますよね。
しかし体調不良をそのまま放置しておくと病状が悪化しさらに医療費がかかるということも十分考えられます。
この制度を知っている人は意外に少ないため、医療費の面で病院受診を迷っている・困っている方がもし身近にいらっしゃるようでしたらぜひ教えてあげてください。
薬で症状が改善するかもしれない。
進行を止められるかもしれない。
みんなが生まれながらにして持つ【生きる権利】を「お金がない」という理由で放棄しなくてもいいように、一つ一つの大切な命をみんなで守っていける世の中になることを願います。
おわりに
コロナの終息が見えない中、最近は企業の冬のボーナスカットの話題をネットニュースでよく見かけるようになりました。
解雇されていなくても収入にダメージを負っている人達で世の中溢れているといってもいいかもしれません。
小さなお子さんがいる、家族を介護している、住宅ローンを抱えている、持病で療養費にお金がかかる…など事情は家庭により様々ですが、収入が減ることはどの家庭にも重くのしかかる問題です。
どんなことでもまずは現状を乗り切る策があるかどうか、色々な情報を集めてください。
たとえどうにもならなさそうであっても、ダメ元で行政の相談窓口に助けを求めてみましょう。
もしかしたら自分ではたどり着けなかった有益な情報を教えてもらえるかもしれません。
一人でも多くの方が健康を保ってコロナを乗り切れますように。
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