インドネシアでどんどん姿を消す小さな島。
そんな怪が近年実際に起こっています。
島の砂がどんどん浸食され、果ては海の底へと消えていってしまう…。
原因は、一体何なのでしょうか。
進む砂不足
「砂不足!?そんなの聞いたことない!!」という方もいらっしゃるかもしれません。
現代において「金より砂の価値の方が高い」と唱える人もいるほど砂は貴重な資源と化しています。
砂や砂利の採取量は世界全体で年間470~590億トンほど。そしてその8割が消費されている状態です。
なぜそこまで砂が重宝されるのでしょうか。
原因は急速に進む都市化
世界で急速に進む都市化に比例して砂不足はどんどん加速しています。
なぜなら新しく道路や橋、空港、高層ビルなどを建築するとなるとコンクリートが大量に必要で、そのコンクリートを作るのにさらに大量の砂が必要とされるから。
記憶に新しい中東ドバイの急速な都市化。
ドバイの建設ラッシュでも砂が大量に使われていて、その多くは輸入した砂でできています。
ん?
輸入??
ドバイって砂漠あるよね??
と思ってしまいますが、砂なら何でも建設に使えるというわけではなく、適した砂があるのだそうです。
残念ながら砂漠の砂は粒子が細かすぎてコンクリートなどを作るには不向き。
そこで適した砂を海外から取り寄せているわけですが、砂の用途はそれだけではありません。
砂の用途はガラスにも
砂の役割はコンクリートを作るためだけではありません。
私達の身近にあるガラスも砂からできています。
ガラスの基本となる材料は珪砂(けいしゃ)、ソーダー灰、石灰石の3つ。
これらの成分はすべて石や砂から取り出され、高温に熱して溶かした後引き伸ばされて形になっていくのだそうです。
ビルを建設したら当然ガラスも大量に必要になってくる。そこでまた大量の砂が使われる。
都市化が進めば進むほど、砂はどんどん地球からなくなっていくのです。
どこの砂が使用されている?
砂漠の砂が使えないとなると、どこの砂を大量に採掘しているのでしょうか。
主に、採石場、河川のようですが、最近では海岸沿いからも採られています。
海底の砂を掘り起こして使用している国もあり、生き物の生態系にも影響が出る可能性があるため『環境破壊・自然破壊』として大きな問題となっています。
では実際に海底の砂を掘り起こすとどうなるのか。
掘り起こされた場所は砂がなくなり、えぐられたようになりますよね。
するとその部分を元に戻すため、砂を運んできて埋めようとする作用が働くそうです。
例えばですが、えぐられた場所から10m手前(場所Aとします)の砂を使って掘り起こされた部分を埋めるという作用が働くと、えぐられた部分を埋めた分Aの場所の砂がなくなるのでまたさらに10m手前(B)から砂を運んで、Bの場所の砂がなくなったからさらに10m手前の場所(C)から運んできて…と繰り返され、結局は海岸の砂が削り取られ、ビーチから砂がなくなっていくという現象が起こっていきます。
海に意思はないものの人間が変えたものを元に戻そうとする力が働くので、結局自然に負担をかけた分、結果として自分達に戻ってくるような感じですね。
砂は世界中で大きな価値を持つ資源。
しかし大きく自然環境を変えてしまうようなやり方は、自然界のみならず私達子孫の未来をも奪いかねないということを肝に銘じておかなければなりません。
砂の減少には地球温暖化の影響も
近年大きな問題となっている地球温暖化。
1970年代にはすでに温暖化は懸念されていて、時を重ねるごとにより深刻に、より具体的な対策が必要だと世界で協議を重ねてきました。
詳細を知りたい方はこちら→いつから地球温暖化が問題とされるようになったのか
この温暖化は近年急速に進んでいて、とどまる気配を見せません。
温暖化の影響でここ100年で世界の海面は平均して16センチも上がっていて、海岸線がどんどん内陸へ進んでいます。
日本の海岸は21世紀末には60センチ上昇すると考えられ、多くの海岸で砂が全くなくなるとの予想も。
サザンオールスターズで有名な茅ヶ崎(神奈川県)では、この50年ですでに海岸線が50メートルも内陸に移動しているし、その他の地域でも海面上昇で砂が減少したことにより泳げなくなったビーチも複数発生しています。
温暖化の影響はそれだけではありません。
今まででは考えられなかったスーパー台風の襲来、竜巻、洪水なども砂をさらっていってしまう原因の一つ。
豊かさを求めるよりもっと大切なことに私達は目を向けていかなければいけません。
※ホッキョクグマは2100年には絶滅すると言われています
おわりに
今後ますます世界各地で都市化は進むと考えられていて、さらに大量の砂が必要な事態になってくるでしょう。
採掘権を持たない「サンドマフィア」と呼ばれるブラック集団もすでに存在しており、密輸や盗掘などで大きな利益を得ています。
すでに砂の争奪戦は世界で起こり始めており、今後さらに砂の値は上がるでしょう。
冒頭でお話ししていたインドネシアの小島が次々と消える現象も海底採掘が原因だと言われています。
今後もどんどん海の底へと沈み、地図上からも消えていくのかもしれません。
世界中の人が他の生物やこれから生まれてくる子供の未来を考え、自分達の利益を優先するための自然破壊に疑問を持ってほしいと思います。
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